今夜も長湯気分

誰に聞かせるわけでもない日々のこと

おげんさんのサブスク堂

コロナ禍である。仕事場も陽性者が続出。暑い中N95マスクとフェイスシールドを装着して勤務する様はSF映画の登場人物にでもなったかのような気分だ。行動は制限され、勤務環境も悪化、家人の影響で出勤停止もあり、思うように働けない日々は思ったよりストレスだ。

 

そんなことより星野源である。先日の『おげんさんのサブスク堂』で「ソリトンSIDE-Bを超えるような番組を作りたくて、別の方法で超えようと思ったらこうなっていた」と言っていた。同じ1980年生まれサブカル男子として、この発言は嬉しくもあり羨ましくもある。

 

思えば星野源氏、細野晴臣に見出され、ドラえもんの主題歌を歌い、スーパーマリオとコラボレーションし、女優の妻を娶るという、1980年生まれサブカル男子として頂点に立つような活躍である。私が子供の頃にドラえもんの主題歌をいつか自分が歌うとか、スーパーマリオと何かしようとか、そんなことは想像もできなかった。しかし、星野さんはやってのけたのである。すごい。

 

ソリトンSIDE-B』は私も大好きな番組だった。『真夜中の王国』とかラジオで言えば『ミュージックスクエア』とか、ネットもなくド田舎に住んでいた私にとって、これらの番組がまさに文化への扉であった。最近はこういう番組がなく、寂しいなと思っていたし、当時の私みたいな若者は今、何を見ているのであろうと勝手に案じていた。まあ、ネットで何か見ているのだろうけれど、やはり上質なコンテンツに触れることができる番組というのは、その入り口として必要だと思うのだ。

 

そこで星野氏の先の発言である。そうか、おげんさんは私の志すところと同じであったのだな、などと不遜にも思ったりしたのである。

 

漫画『俺たちのフィールド』でアナウンサーのモロ岡さんが自身もサッカーを志し挫折した経験があると前置きし、サッカー日本代表選手について「今、彼らはサッカーを通じて、関わりあったり競い合ったり憧れたりしている人々の代表としてフィールドにいます。サッカーに関わった全ての人々の破片を纏って、彼らは今、戦っています。彼らは『私』です。彼らは『私たち』です」と語る場面がある。

 

星野源もまさにこれである、と私は勝手に思っている。同世代のサブカル者の破片を纏って、彼はメジャーシーンで戦っている、と勝手に思っている。もっともっと、あの頃の僕たちが夢見たことを、そして想像もできなかったことを、やってのけてほしい。そう思う。